雨を見たことがない少年がいた。
雨を見たことがない少年がいた。
少年は雨を探して旅をする。千より大きな数を知らない少年の、その無垢な魂に燃えるは希望。ひたむきな目に映るは、まだ見ぬ天の恵み。
そして少年は経る。一握の喜びに釣り合わぬ、辛苦と恐怖と悲嘆。挫折の果て絶望の果て折れた心の果て――
それでも少年は探した。最後のときが訪れるまで。
そして。
大地によこたわる少年の頬に、しずくがひとつ。ふたつ。
やがて少年を包み込む、無数の水の粒。
――そうか。これが雨というものか。
少年は笑った。
両手をいっぱいに広げ、細めた目で仰ぎ見るは幾千の雫。

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